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回答プロ: 浅野 周
ご相談者:30代/女性
流産後なかなか子供を授かることができません。 現在不妊治療中ですが、年齢的にも今年中には欲しいと願っていますが、最近は基礎体温もがたがたで不安がつきません。 鍼灸が不妊にも効果がありと聞いたのですが、本当ですか? また、効果がある場合、いい鍼灸師の見分け方(探し方)があれば教えて下さい。
よろしくお願い致します。
30代/女性 | 日付:2008年7月28日(月) 17:24 JST | 閲覧件数: 16,524
鍼灸は、不妊に効果があります。張仁の『最新鍼灸治療・165病』三和書籍によると、婦人科疾患−不妊症P363に
「不妊症は、排卵障害、卵管、子宮、子宮頚部などの原因を含むが、さまざまな原因で卵巣機能がおかしくなり、排卵しない不妊症が、鍼灸の主な治療対象である。
不妊症に対する鍼灸治療の現代資料は1920年代にある。50年代に日本の鍼灸家が不妊症の灸治療を発表し、それが翻訳されて中国に渡った。それ以降は、この分野での進歩はあまりない。80年代になって再び重視され始めただけでなく、進歩も早かった。それは主に二つあり、一つは伝統的な中医学理論から始まった辨証施治で、世界中の人々が試みて、かなり効果を上げた。もう一つは現代医学によるもので、鍼灸で排卵を促して妊娠させるものである。穴位刺激法では、伝統的な刺鍼以外に、電気鍼、埋線、レーザー鍼、マイクロウェーブなどがある。
鍼灸による不妊症治療のメカニズムは、現在では幾らかの基礎的だが有意義な研究がされている。例えば電気鍼による排卵と手掌の皮膚温度変化に一定の関係があり、もともと手掌の皮膚温度が低かったが電気鍼したあと上昇する患者では、排卵率が著しく上昇した。さらに黄体ホルモンが現れる排卵のピークになると、三陰交などの穴位の電気抵抗が増加することが多く、エストロゲン(卵胞ホルモン)を飲ませると、穴位の電気抵抗が低下することも観察された。これは穴位の電気抵抗と、体内の性ホルモンの変化に関係があることを示している。
【治療】
体鍼
☆取穴
主穴:子宮、中極。
配穴は辨証取穴する。a腎虚型は腎兪、命門、関元、気海、然谷、三陰交、血海、照海。b肝鬱型は三陰交、照海、血海、太衝。c痰湿型は脾兪、胞門、曲骨、商丘、豊隆、関元、足三里、中脘。
子宮穴の位置:中極の傍ら3寸。
胞門穴の位置:臍下3寸で、前正中線の横2寸。左が胞門、右が子戸。
☆治療法
毫鍼で刺鍼する。月経が終わったあとから毎日1回治療する。刺鍼して得気したら、腎虚型は補法、肝鬱型と痰湿型には瀉法する。連続して治療し、15回を1クールとする。漢方薬も内服する。
☆治療効果の評価
効果の評価基準:著効-1クール治療して妊娠し、出産した。有効-妊娠して流産したため出産できなかった。無効-症状も徴候も治療前と同じ。
全部で314例の患者を治療した結果、著効207例(65.9%)、有効86例(27.4%)、無効21例(6.7%)で、有効率93.3%だった。
総合療法
☆取穴
主穴:関元、子宮、秩辺、水道。
配穴:耳穴の内分泌、卵巣、腎上腺、縁中、三焦。
子宮穴の位置:中極の外側3寸。
☆治療法
主穴を主とし、一回の治療で2〜3穴を選び、症状により配穴を加える。耳穴は片耳ずつ取り、円皮鍼を一週間に2回貼り付ける。体鍼の操作だが、初診時には腹部の穴位を使い、再診では背部の穴位を使うなどのように、交互に使ってもよい。体鍼は運鍼したあとパルス電流に繋ぎ、パルス間隔60回/分、電流の強さは耐えられる程度にし、症状に基づいて5〜20分通電する。最初は一日1回治療して3回続けたあと、週に2〜3回に改め、10〜12回を1クールとし、各クール間は5〜7日開ける。
☆治療評価
全部で不妊症106例を治療し、資料を統計すると、出産46例(43.4%)、妊娠18例(17.0%)、治癒率60.4%だった。
電気鍼
☆取穴
主穴:三陰交、中極、子宮、関元。
配穴:大赫、血海、地機、足三里。
☆治療法
一回の治療で主穴を2〜3穴、配穴から1〜2穴を取る。生理から生理までの間に連続三日治療するか、月経周期の第12〜14日目から(無月経は腹腔気体造影や腹腔鏡などで検査を終えた1ヵ月あと)、毎日一回、続けて3日治療をする。鍼を刺入したら平補平瀉を使い、中刺激で30秒運鍼する。腹部の穴位では鍼感が外生殖器へ放散してからパルス電流に繋ぎ、周波数60〜120回/分の連続波か16〜18回/分の疎密波で、電流の強さは5mA以下か、患者が心地好く感じる強さにして1時間通電する。電気鍼は2〜7周期を1クールとする。効果がはっきり現れなければ、さらに治療を1クール続ける。
☆治療評価
全部で179例を治療し、排卵141例(78.8%)、無排卵38例(21.2%)で、有効率78.8%だった。そのうち96例の結果は、妊娠59例で、妊娠率61.5%だった。
穴位埋植
☆取穴
主穴:三陰交。
☆治療法
一般の患者は生理が終わって3〜7日目から治療を始め、生理のない患者では、排卵していないのを確認した後で治療を始める。一回の治療で両側の三陰交を取り、注射針を使って穴位埋植する。2?0号の羊腸線を腰椎穿刺針に入れ、穴位を消毒して局部麻酔した後、腰椎穿刺針を垂直に刺入し、得気があれば羊腸線を穴位内に押し込み、針孔を消毒ガーゼで被う。埋線したあと、基礎体温が二相になって明らかに黄体ホルモンが不足しているものには、次の生理の後、絨毛性ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)を1000単位、週2回筋肉注射をする。基礎体温が上昇してきたら、毎日1000単位の筋肉注射を2日続け、黄体の機能を維持する。一回めの埋線で効果がよければ、1ヵ月後に羊腸線が吸収されるのを待ってから、再び埋線する。
治療評価
全部で24例を治療し、18例が排卵(75.0%)、そのうち16例が妊娠し(患者全体の66.7%)、6例無効(25%)だった。
マイクロ波鍼
☆取穴
主穴:帰来。
配穴:中極、関元、子宮。
☆治療法
主穴は必ず取り、1〜2個の配穴を加えるが、必ず対となるようにする。28号2〜3寸の毫鍼を刺入し、得気したら鍼柄にコイルを被せ、マイクロ波鍼灸機に繋ぎ、25〜28Wで20分置鍼する。毎日か隔日に1回治療し、10〜15回を1クールとして、各クールは5日開ける。
☆治療効果の評価
以上の方法にて94例を治療した結果、治癒(妊娠)64例、有効28例、無効2例で、有効率97.9%だった。
レーザー鍼
☆取穴
主穴:気海、関元。
配穴:大赫、気穴、水道、帰来、子宮。
☆治療法
主穴を主とし、考慮して配穴を加える。毎回患側から4〜5穴取り、ヘリウム-ネオンレーザーで出力5mW、光斑直径2?とし、毎日5分間照射する。月経が終わった3〜5日後から毎日1回照射を始め、月経と同じ周期で治療し、15〜20日を1クールとする。1〜3クール治療が必要である。
☆治療効果の評価
卵管炎症性の不妊症患者43例を治療し、治癒14例、著効2例、有効27例で、有効率100 %だった。その効果は薬物治療群より優れていた。」
とあります。
私も去年、患者さんに「妻が不妊症なので治療してくれ。5年前に流産してから、まったく妊娠しない」と言われ、その妻を治療しました。
妻は、妊娠するために漢方薬も飲んでいたそうです。
私は、中国の婦人科専門の呉先生から「妊娠しないのは子宮が冷えているから、精子を捕まえられないのだ」という話しを聞いていたので、
「冷え症がありますか?」と聞くと、あるという。
そこで腰と尻に鍼をして、腰と尻の血行を良くしました。でも腰にある腹大動脈は、尻で内外腸骨動脈に分かれています。それが大腿動脈となって足先まで行っています。
中医には「気血が流れれば解決」という言葉があります。ようするに酸素を含んだ血が流れていれば、解決するというわけです。
血液が流れることで体温が伝わり、冷えが解消するので、血の循環が改善すれば子宮が温まって妊娠するんじゃないかと考えました。
腰と尻へ刺鍼して、腰と尻は血が流れる準備ができました。しかし血は、循環しなければなりません。そこでフクラハギへ鍼して、腸骨動脈まで流れてきた血を足先まで到達させました。そうして足先まで流れた血がフクラハギを通り、尻を流れて腹大静脈へ戻り、心臓へと返って行ったのです。
一回治療して、二回目に「どうだったか?」と尋ねると、「まったく変化ありません」という返事。そして3回目の治療は、来ませんでした。
(ダメで、諦めたのかなぁ)と思っていたら、夫から「妻が妊娠しました」という話し。
「前から漢方薬もやっていたのですが、どちらが効いたのか判りません」という。
夫は「また流産するといけないので、鍼で流産しないようにしてくれ」という。
私は、流産して責任を取らされてはかなわないので、「鍼は流産するといけないのでダメです」
「では、どうしたらいいか?」と夫。
「温灸してください。それなら家でできるし」と私。
そこで『最新鍼灸治療・165病』の「習慣性流産」の項目を参照し、その鍼治療するツボに温灸をしてもらいました。
流産を防ぐ漢方薬というのを飲んでいたそうですが、妊娠中に薬物を飲むと、奇形児ができるかも知れないと考え、「そんなものを飲むと流産するかも知れない」と脅して、止めて貰いました。
そうして温灸のためか、偶然か知らないけど、その1年後には順調に男児が誕生しました。
一応、私が鍼で生んだ子供と考え、もし知恵遅れの子供だったりしたら、保証期間なので修理しようと思っています。
ただ「私が嫁さんを妊娠させた」などということが中国の同級生にバレルと、「あいつは男のくせに、婦産科などをやってるで」と言われて恥ずかしいので、ここだけの話しですが。
私もやりたくなかったんですが、夫が上客なんで仕方なく治療したわけです。
というわけで、私の経験上でも、鍼は妊娠に効果があります。
ここまでの質問は簡単なのですが、「いい鍼灸師の見分け方(探し方)があれば教えて下さい」が難題なので、ちょっと回答しにくくなってしまいました。
これは不妊症の得意な鍼灸師ということなのでしょうね。
近所で「あの鍼灸師は妊娠さす」と口コミで評判の鍼灸師を探すことが、一番確実です。
それは医師が脳とか心臓とか専門分野を持つように、鍼灸師も得意があって、自分の得意疾患ならば経験豊富、医学知識も豊富なのですが、苦手分野のことは全くダメです。
だから「あそこで不妊症が治った」という評判の鍼灸院ならば、自分が行っても治る可能性が高いのです。そうでなければダメと。
これは口コミでなければ信頼性がありません。
まずホームページで、その疾患が得意だと書いてある鍼灸院を探せば簡単なようですが、そのホームページは鍼灸師が作ったもので、治して貰った患者が書いたものではありません。だから本当かどうかは、出たとこ勝負です。鍼灸師は治したつもりでも、実は効果がないから患者が諦めて行かなくなったことが多いのです。それを治療者は知らないので、治って来なくなったと思っている。
つぎに雑誌や本で、その疾患が得意だと書いてある鍼灸院。これもホームページと同じで、新聞記事じゃあないので自分の宣伝です。やはり信憑性がありません。
じゃあ、有名人の来る鍼灸院はどうか? 単に、自分にとって交通の便がいいから行っているのに過ぎません。治癒率を他と比較したわけではないのです。
治療費の高い鍼灸院。これは、単に地価が高いので、その金額でないとやっていけないからです。
肩凝りでもギックリ腰でも、一発で治すという評判の鍼灸院。確かに運動系は得意でしょうが、妊娠させられるかどうかは未知数です。
つまり、自分が求む疾患の治癒率が良いと評判の鍼灸院を探すしかないのです。
そうした口コミのない場合。これは難しいです。
そのときは自分が求む疾患について、その鍼灸院の院長が、どれだけ知識を持っているか知るため、メールで質問してみることです。
ふつう患者さんは、自分の疾患について、ある程度は調べているので、知識があるものです。だから鍼灸院が、それについてどれだけの知識を持っているかをメールで質問して確かめるのです。
相手が判りやすく説明してくれなければ、「これは、そうした分野の知識がないな」と判断できます。知識がなければ、治らない可能性が高いでしょう。知識があって、それを自分の物にしていれば、噛み砕いて説明してくれるでしょう。内容が理解できない返事ならば、無駄足でしょうね。
電話じゃあダメです。いくら知識が豊富な人でも、忙しければ教えて貰えませんから。
口コミあるいは納得説明、この2つが良い鍼灸師の探し方です。
回答日時:2008年8月 1日(金) 23:05 JSTお礼のコメントを書く
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