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回答プロ: 浅野 周
ご相談者:30代/男性
皆の相談にも投稿しましたが、プロの先生にも御相談させて頂きます。3年前から額、眉間、目、鼻の付近が電気が来る様にビリビリします、朝から夜まで24時間続きます。神経症状の様な一定のビリビリ感です、脳神経科、神経内科、診療内科、耳鼻科で診察して頂いても病名も治療方法もわからないまま3年がたちました、相談としてはどの様な病気なのか、病名は、治療方法は、何科に受診すればいいのか教えて下さいませ。大変困っております、神経内科では抗鬱剤をのみました、現在は診療内科で安定剤メイラックス1mmを夜1錠のんでます、御回答宜しくお願いいたします。
59歳男
30代/男性 | 日付:2008年1月24日(木) 11:10 JST | 閲覧件数: 8,961
何科を受診すればよいかという質問には、困ってしまいます。
「額、眉間、目、鼻の付近が電気が来る様にビリビリします」という症状からすると
三叉神経痛、それも額、眉間、目、鼻の付近ということなので、第1枝(眼神経)と第2
枝(下顎神経)の混合型だと思います。
簡単に言えば、脳橋から出た三叉神経が、三叉神経節から3つに分かれ、第1枝は上
眼窩裂、第2枝は正円孔を通って、それぞれ額と眼と眉間、鼻と上歯に分布しています
。
第3枝は舌や下歯へ行きますが、それについては記載されてないので、異常がないと
思います。
ということは、三叉神経が1、2、3枝に分かれたあとで症状が起こっていますので
、脳橋から三叉神経節までは異常がないということです。これが前提です。
で「三叉神経とは何か?」と尋ねられると、脳神経です。
一般的に、このような症状を出すということは、三叉神経が3つに分かれたあとで、
第1枝と第2枝が、どこかで圧迫されているということです。上唇は触れられていませ
んので、主に第1枝痛と思います。
恐らく脳神経科でMRIを撮り、三叉神経の眼神経痛という予測を立てて、神経の通路
を調べたのでしょうが、これといった絞扼部分を見つけられなかったため、原因不明と
なったのでしょう。
普通は神経が骨の穴を通って表面に出るとき、動脈が一緒に通って出ることが多くて
、その動脈が硬化していたりして太くなり、神経を圧迫するため痛みが出ることが多い
のですが、そうした箇所が見つからなかったのでしょう。他にも腫瘍や骨増生などで神
経が圧迫されているのではないかと疑ったが、いずれも問題なしだったのでしょう。で
、原因不明の三叉神経痛。
こうした場合、精神科と別の科を行ったり来たりするのが普通で、「まあ、原因は分
からないのだが、痛みがあるので、とりあえず痛み止めを出しておくか!」とか、「気
のせいだから、精神安定剤を出しておくか!」というのが普通の対応です。
で、三叉神経を血管が圧迫しているでもない、骨が圧迫しているでもない、腫瘍が圧
迫しているでもない。こうした場合は、凝り固まった筋肉が神経を圧迫して痛みを出し
ている場合が往々にしてあるのです。
血管にしても、骨にしても、腫瘍にしても、神経は一つの部分で圧迫されているので
すから、そこで圧迫されて細くなっていることが見えるのです。しかし筋肉は幅があり
ますから、全体で圧迫されていれば、とりわけ圧迫されて細くなっている部分が見つか
らず、「異常なし」となってしまうのです。
こうした筋肉による神経圧迫を解除するには、締め付けている筋肉を解すしかありま
せん。
ただし、こうした考えは「脳脊髄液減少症」のようなもので、認める人と認めない人
があります。
そこで手前味噌ですが、鍼治療が中心になります。鍼治療は「原因不明な病気に効果
がある」と言われます。その治療作用は、このような硬くなった筋肉を和らげることに
より、神経や血管を絞扼から開放し、神経の興奮をを鎮めたり、血の循環を改善します
。
中国では、そうした事柄は実験によって証明されているのですが、日本では紹介する
人がおらず、知られないままになっています。だから認めない人が多くても当然ですが
。
三叉神経は脳神経ですので、頭蓋骨から直接顔に出ます。だから手足に刺鍼しても効
果が無く、顔を中心に刺鍼する治療となります。刺鍼してポイントに当たれば、電撃様
の痛みがひどくなります。そうして、しばらく鍼を置いておけば、筋肉が緩んで痛みが
治まります。たぶん痛みが治まるまで、3回ぐらいかかるのではないでしょうか?
でも中国鍼灸では三叉神経津痛の鍼治療は確立されていますが、日本鍼灸には詳しく
ないので判りません。
ちなみに私のペンフレンドである張仁の本から、三叉神経痛の鍼治療を抜粋しておき
ます。
三叉神経痛は、三叉神経の分布区域に繰り返し発生する陣発性で短時間の激しい疼痛
である。症状は、突然稲妻のような短時間の激しい痛みが起こり、それは刀で斬られる
ような、あるいは錐で突いたような、あるいは火で焼かれるような、あるいは引き裂く
ような痛みである。発作が起こる前に前兆はなく、痛みも三叉神経の感覚支配地域に限
られる。痛みは数秒から1〜2分続き、同側の顔面部に反射性の痙攣が起こる。疼痛の
多くは一側に起こり、顔を動かしたり、顔面の特定部分に当ったりすることで誘発され
る。
本病の現代鍼灸治療は1955年に始めて見られ、さまざまな刺灸方法が述べられている
。そのあと臨床報告は日々多くなった。特にこの十数年では、刺鍼部位の探索や選別、
刺激方法の進歩によって有効率が急速に高まった。現在の原発性三叉神経痛に対する鍼
灸治療の短期効果は、千例以上の症例の観察によると95%以上である。鍼灸以外の方法
、例えば穴位注射、電気鍼、頭鍼および直接深部の神経幹を刺激する方法などの効果も
似たり寄ったりである。三叉神経痛に対する長期効果でも再発しにくく、仮に再発して
も再び治療すれば効果がある。原発性の三叉神経痛に対して現代医学では有効な方法が
なく、鍼灸は副作用のない治療法なので、鍼灸治療は本病を克服するための新しい方法
である。
【治療】
体鍼
☆取穴
主穴:魚腰、四白、下関。
配穴:夾承漿。
夾承漿の位置:前正中線の左右に開くこと2.5?、口角の下一横指の陥凹。つまり下
顎骨のオトガイ孔のところ。
☆治療法
1枝痛は魚腰を取る。鍼法は、魚腰から下に向けて0.3〜0.5寸刺入し、触電感のよう
な鍼感が起こり、それが眼部および前額部に伝わったら20〜50回提插する。
2枝痛は四白を取る。鍼法は、四白から上に向けて45度角で0.5〜0.8寸刺入し、触電
感のような鍼感が上唇と上歯に伝わったら、20〜50回提插する。
1枝と3枝あるいは3枝痛では下関を取る。鍼法は、1.5寸の深さに直刺し、触電感
のような鍼感が舌あるいは下顎部などに伝わったら、20〜50回提插する。もし下関を使
った治療で効果がはっきりしなければ夾承漿を取る。鍼法は、夾承漿から前下方に30度
角で0.5寸ほど刺入し、触電感のような鍼感が下唇に伝わったら、20〜50回提插する。
上の穴位は、すべて患側を取る。もし必要な鍼感が得られなかったら、鍼の方向や深
さをずらして満足な鍼感が得られるようにする。一般に隔日1回治療して、10回を1ク
ールとする。症状のひどいものは一日1回治療する。
☆治療評価
○疼痛消失-痛みが完全に消え、3ヵ月以内では再発しない。○著効-痛みがはっきり
軽くなり、発作回数も減った。○好転-痛みが軽くなって、発作回数も以前より減った
。○無効-治療の前後で変化がなし。
以上の方法で1500例の原発性三叉神経痛患者を治療し、痛みが止まったのは815例、
著効424例、好転248例、無効13例で、有効率は99.2%だった。そのうち539例について
、1年から6年あとに再調査したところ、237例が再発していた。
体鍼の2
☆取穴
主穴:聴宮、合谷。
配穴:眼枝は魚腰、上顎枝は顴髎、下顎枝は下関と頬車を加える。
☆治療法
患者を患側を上に向けた仰臥位にし、30号2寸の毫鍼を使う。まず口を閉じて取穴し
、すばやく患側の聴宮へ0.6〜0.8寸に直刺したら提插の平補平瀉をおこない、顔面部に
酸麻脹の感覚を放散させる。そして患者にゆっくりと口を開かせ、穴位の周辺に3〜5
本ほど斜刺か平刺(横刺)する。全部の鍼に酸麻脹か触電感があれば30〜60分置鍼し、10
分ごとに運鍼する。ほかの穴位には各穴1鍼刺入して捻転瀉法するが、置鍼時間や置鍼
中の運鍼操作は上と同じである。毎日1回治療して7回を1クールとし、各クール間は
3日開ける。
☆治療効果の評価
以上の方法により85例を治療し、治癒51例、著効23例、有効11例で、総有効率100%
だった。
電気鍼
☆取穴
主穴:1枝痛は魚腰。2枝痛は四白、下関。3枝痛は地倉と顴髎。
配穴:陽白、水溝、承漿、迎香。
☆治療法
痛みのある神経枝から取穴し、配穴を1〜2穴加える。すべて患側を使う。刺鍼して
得気があれば、G6805型電気治療儀で疏密波を使い、パルス間隔150〜600回/分、強さは
患者が耐えられる範囲で20〜40分パルス通電する。置鍼の間、患者の感度に応じて電流
を1〜2回大きくし、重い、腫れぼったい、痺れるなどの鍼感が、慣れて消えないよう
保持する。一日1回治療するが、重症ならば2回治療する。
治療評価
66例の電気鍼治療をした結果、有効率は87〜92.4%だった。
全息鍼
☆取穴
主穴:第2中手骨の橈側で、中手指節関節付近。
☆治療法
薬液:当帰寄生注射液。
両側の穴区を取る。まず反対側の手の親指で、第2中手骨を按圧し、もっとも圧痛の
明確な部位に、当帰寄生注射液を注入する。5号の歯科用注射針を着けて、第2中手骨
で、中手指節関節付近の橈側へ少し斜めに刺入し、強い得気感があれば各穴へ2mLずつ
注入する。3日に1回注射し、10回を1クールとする。
☆治療効果の評価
以上の方法で三叉神経痛患者86例を治療し、治癒46例、有効36例、無効4例で、総有
効率95.3%だった。
刺血
☆取穴
主穴は2組に分ける。a上星、顖会、五処、承光、通天、絡却。b前頂、百会
、頭臨泣、目窓、正営、承霊。
☆治療法
毎回1組を取り、両組を交互に使う。局部を消毒し、三稜鍼で穴位を点刺して各穴か
ら1〜5滴の血を出す。もし出血しなければ、両手の親指と人差指で局部から血を絞り
出す。毎週2回治療し、10回を1クールとする。
☆治療効果の評価
以上の方法にて30例を治療し、治癒21例、著効6例、有効3例で、総有効率100%だ
った。一般的に点刺出血治療は、一枝の痛みには効果がよいが、両枝以上の複数が一緒
に痛んでいれば効果が悪い。発病して早ければ効果がよく、2年以上経過すると効果が
悪い。
抜罐
☆取穴
主穴:第1枝痛は太陽と陽白、第2枝痛は顴髎と四白、第3枝痛は夾承漿と禾
髎。
配穴:風池、合谷。
☆治療法
病変のある神経枝に基づいて、毎回1〜2穴取る。三稜鍼で穴位を2〜3回点刺する
。点刺は皮下へ刺入する程度でよい。続いて閃火法かポンプで、点刺した部位に5〜10
分留罐し、各穴から1〜2mL出血させる。そして抜罐部位が赤くなるまで待つ(内出血
はさせない)。抜罐を外したら配穴に刺鍼する。風池は鍼尖を対側の眼球へ向けて1寸
刺入し、 鍼感を頭頂部か前頭部へ放散させる。合谷は鍼尖を体幹に向けて1寸刺入し
、鍼感を肘に放散させる。いずれも強い捻転手法を使う。上述した操作は隔日1回おこ
ない、10回を1クールとする。
☆治療効果の評価
この方法にて複数例を治療し、優れた効果があった。
挑治
☆取穴
主穴:下関、翳風、風池。
配穴:三叉神経の第1枝痛は魚腰、攅竹、陽白、印堂。第2枝痛は四白、巨髎
、顴髎、太陽。第3枝痛は頬車、承漿、地倉、人迎を加える。
☆治療法
毎回主穴を1個、配穴を2〜3個選ぶ。消毒したあと1%プロカインで局部麻酔する
。次に消毒した三稜鍼を右手に持って穴区に近づけ、左手の人差指で皮膚を鍼尖に向け
て押し、鍼尖を皮膚に入れたら、縦に2〜3?切り、さらに入れて皮下の白色筋線維を
引きちぎり、すべての筋線維を引きちぎったら終える。あとはヨードチンキで消毒し、
小さな消毒ガーゼで覆い、バンソコウで固定する。1穴が終わったら次の穴を挑治する
。7日に1度挑治し、10回を1クールとする。
☆治療効果の評価
全部で49例を治療し、治癒19例、有効23例、無効7例で、総有効率85.7%だった。
穴位注射
☆取穴
主穴:1枝痛は魚腰と陽白。2枝痛は四白と迎香、翳風。3枝痛には地倉と頬車、迎
香。
配穴:太陽、阿是穴、風池、合谷。
阿是穴:痛みの触発点。
☆治療法
薬剤:654−2注射液(漢方薬のアニソダミン)か当帰注射液。
毎回患側の主穴を主にし、1〜2穴の配穴を加える。5号歯科注射針を刺入し、触電
感や得気がを6mLずつ注入する。一日1回治療するが、発作が頻繁に起こらなければ隔
日に1回治療する。10回を1クールとする。
☆治療評価
75例を治療し、有効率96%だった。
回答日時:2008年1月30日(水) 22:19 JSTお礼のコメントを書く
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