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祖母の介護について

ご相談者:40代/女性

大変長い話になりますが、お知恵を拝借できましたら有り難く存じます。
(私と、これからお話しするほとんどの人間は、ずっと山形県在住ということを最初に申し上げておきます。)

私のおばあちゃん(89歳)についての悩みなのですが、これからお話しするおばあちゃんは実は血のつながりはないんです。おばあちゃんは私の実の祖母の友人で、私が生まれた頃、私の実の祖母と私の両親は商売をやっていたため日中わたしの面倒を見ることができませんでした。そこで生まれて70日経った私をおばあちゃん夫婦(おじいちゃんはすでに他界)に私が幼稚園に入るまでの4年間預けたのでした。実際の両親の元には寝るために帰るだけの日々でしたので、おじいちゃんとおばあちゃんは私にとって昔も今も実の親以上の存在です。おばあちゃんたちも同じように私を思ってくれて、実の子、実の孫以上に大切にかわいがってくれました。

昨年暮れ、そのおばあちゃんが腕の骨折で入院した際、脳幹梗塞をおこしてしまいまいました。幸い命に別状はなく、少々言語に障害が残りましたが、スムーズではないにしても日常会話に深刻な支障があるほどではありません。これまでおばあちゃんは老人施設でひとりで暮らしてきました。この施設は完全自立者向けで、3度の食事が出される以外のことはすべて自分でしなければなりません。おばあちゃんは元気に何でも自分のことは自分で行い、永年の友人たちに囲まれ幸せな日々を過ごしていました。

とは言うものの、約2ヶ月間の入院で足腰はめっきり弱ってしまいました。ある程度歩いたり少し手伝ってもらってトイレの用をたすことはできますが、自分ひとりで歩こうとすると転んでしまうことが多いので、長い距離の移動などは車椅子を使っています。毎日歩行練習や言葉などのリハビリは行っていますが、そうそうすぐに良くなる兆しは見えません。病院での治療は終了とのことで先週退院し、おばあちゃんが入っていた老人施設と同じ棟内にある完全介護の老人介護施設に入りました。

おばあちゃんには子どもがふたりいます。長女は千葉県在住で、長男は横浜在住です。山形在住の次男は7年前に他界しました。次男の妻(M子)は現在も山形におりますが、次男と正式な婚姻関係を結んでおらず、実質的には戸籍上の夫婦ではありません。次男の妻であるM子はとても心優しくしっかりとした女性で、おばあちゃんの山形での身内としてこれまでもずっとおばあちゃんを大切にしてきました。おばあちゃんも心から彼女を信頼し、長い間私との関係のようにいい関係を保ってきたと思います。正直、実の子どもたちとの仲は最悪です。おばあちゃんの骨折を知って山形の病院にかけつけてはきましたが、かけつけた長女とその娘(実孫)に対して、「来ることない!帰れ!」と怒鳴ったそうです。M子に対しても「どうして知らせた!私は長男にだけ知らせればいいと言ったはずだ!」と声を荒げたとのことでした。かつておばあちゃんが長女に「しばらく預かってくれ」と200万円を預けたそうですが、数年後「返してくれ」と言った際「使ってしまった」と言われ、その後1円も返してもらっていないということがあったようです。長男も、山形でひとりで暮らしているおばあちゃんに、「元気にしてる?」などの電話など滅多になかったようです。昨年「横浜に来ないか?」と言われたそうですが、「金目当てだ。」とおばあちゃんは言っていました。骨折の入院を知らせたのは、一応長男であり、老人施設に入所する際も息子として保証人になってもらっている手前があるからということらしいです。

そして、おばあちゃんがこれまでのように自分の身の回りのことを自分でできない、常に誰かの目を行き届かせることが必要ということになり、長男が「横浜に連れて行く」と言い出しました。横浜に連れて行き、完全介護の施設に入れると言うのです。そして早々と入所していた老人施設を解約してしまいました。そしてあろうことに、おばあちゃんに解約したことを話してしまったのです。自分はこれからどうなるのか、どうしていったらいいのか不安だらけで打ちひしがれているおばあちゃんに・・・先日入所した老人介護施設のベッドの上で、おばあちゃんは毎日泣いて、生きる気力を無くし、屍同然になっています。施設の看護師さんたちも心配するほどで、このままでは状態の改善どころかどんどん状態は悪くなり、うつ病になってしまいます。そして若干「痴呆」の症状が見えはじめてきたのです。おばあちゃんを見ていると、完全に痴呆になってしまった方が幸せだと思えてきてしまいます。長男が横浜に連れて行く日が決まって、それをおばあちゃんが知ったら、おばあちゃんの性格上、ご飯を一切食べなくなるなどの抵抗をして自殺行為に走るんじゃないかと、M子と私は話しています。

私の母が、たまたまおばあちゃんの入っている施設でケアマネージャーをしている関係で、長男には「おばあちゃんの幸せを一番に考えてほしい」と今の状況や、このままではおばあちゃんが生きる望みもなく、生きて行く気力を無くしてしまうと話してみても、「長男だから最後の面倒を見る。他の人に任せられない」の一点張りのようです。このままでは横浜での施設が見つかり次第おばあちゃんは連れて行かれるでしょう。自分たちの家に連れて行って面倒を見るのではなく完全介護の施設に入れて、長男としての責任を果たしているつもりになるということなのでしょう。M子は、「横浜に連れて行ったら、月に1度や2度しか面会になんか行かないだろう。」と言っています。M子は、おばあちゃんが骨折して入院してから現在まで、仕事をしながらも毎日おばあちゃんを見舞い、世話をしています。しかも長男は、私の母に「毎日会いに行かないでほしい。施設に入って誰も会いに来ないことに慣れてほしいから。」と言ったそうです。でも母は、「いつでも毅然として溌剌としていたおばあちゃんの、あんな変わり果てたかわいそうな姿を見て、とても放っておくことはできない。」と言いました。もちろん、周りの私たちもそうです。おばあちゃんの願っている幸せ、望みは、山形で大好きな人たちに囲まれて一生を終えることです。どんな施設に入っても、その費用を自分で払っていけるだけの年金を、おばあちゃんはもらっています。(おじいちゃんが戦争に行ったため、普通より年金が多いらしいです。)子どもたちに何のお金の負担もさせることなく、おばあちゃんは自分の希望するように山形で生きていけるんです。先日長男は、おばあちゃんの通帳を全部持っていってしまったようです。どうしてなのでしょう?自分たちが成人して以来ずっと離れて暮らしてしまったら、母親にとっての一番の幸せを考えてあげられなくなるものでしょうか?私の母は、「M子さんやあなたに対する嫉妬が大きいと思う。意地になっているとしか思えない。」と言います。実の子である自分たちより、赤の他人である私たちにおばあちゃんが長年良くしていることが嫌なのだろうと・・・長女はあからさまに私と口をききませんし、決して顔を見ようともしません。(でもそれは、実の子としての立場になって考えれば気持ちもわかるので、私はある意味仕方ないかなと、何も言うつもりはありませんが・・・)M子も私も、常識の範囲内での「おこづかい」しか、おばあちゃんにお金なんてもらったことはありません。(私たちがお金をもらっているだろうと邪推しているようです。)

用があるとき、必要なときだけ山形に来て、そのときだけおばあちゃんの様子を見ているだけなので、おばあちゃんが今どれだけひどい、かわいそうな状況なのかわからないのだろうと、M子は言います。本当なら今の時点で足しげく山形へ通い、おばあちゃんの様子を見、話しをして、今まで離れていてコミュニケーションを取れなかった時間を埋める努力を、できる限りすべきだと思うのです。もちろん、親子関係がこうなったのはおばあちゃんにも責任があるとは思います。それでも、何もせず、何もわかりあえずに、モノのようにおばあちゃんを無理やり横浜へ連れて行ってしまうのは、あまりにも哀しすぎます。どうしてもおばあちゃんを横浜に連れて行くというなら、何度でも山形に来て、おばあちゃんと話しをして、おばあちゃんが希望しないまでも「しかたない」と納得してからにしてほしいのです。違うでしょうか?今のまま無理やり横浜に連れて行ったら、確実におばあちゃんの状態は悪くなります。本当に哀しいことですが、何を言っても私たちは他人。実の子どもさんたちに言えることは限られます。私にとっては本当に本当に淋しいことですが、おばあちゃんの幸せのために横浜に行くのであればそれもしかたないと思います。私たちの望みは、おばあちゃんに死が訪れるその日まで笑顔で生きてほしいということです。長男に、「おばあちゃんにとっての一番の幸せ」を考えた選択をしてもらうために、私たちにできることはないのでしょうか?アドバイスをよろしくお願い致します。長い文章を最後までお読み頂きまして、本当にありがとうございました。

40代/女性 | 日付:2010年2月23日(火) 15:09 JST | 閲覧件数: 3,790

家族関係の調整を考える「任意後見人」の活用を

永井 隆一

永井でございます。
ご相談内容を拝読いたしました。

貴女の「おばあちゃん」を思う気持ちが良く伝わって参りました。
文章から、「おばあちゃん」も現在の居所で暮らすことが幸せだと存じます。

何よりも、ご本人の意思が何よりも大事です。
「おばあちゃん」は、判断能力のある方です。
介護施設を横浜に移すことも、通帳をご長男にお預けになることも、例え身内であっても、本人の承諾なしには認めらない行為です。身内であることを濫用されているようにも伺えますね。

今後もこのような問題が生じるようであれば、「おばあちゃん」の委任を受けて、財産管理を行うものとして「任意後見人」を付けることをお勧めします。
もちろん、貴女ご自身やM子さんが、「任意後見人」に就任するとこも可能かと存じます。しかし、かえってお子さんたちとの関係にこれまで以上、溝を深めてしまうようでしたら、弁護士や社会福祉士などの第三者に依頼することもお考えください。もちろん、契約なので有償にはなるかと存じます。きちんと「おばあちゃん」の利益のために動いてくれる方でなければいけません。
任意後見契約の相談機関は、法テラスや社会福祉協議会、司法書士会などに設けられています。市役所の高齢福祉課や地位包括支援センターでも案内がございます。

他にもご長男方と「戦う」方法はございますが、「おばあちゃん」もそこまでの確執は望んではおられないかとも推測いたします。

また、仮に「おばあちゃん」が横浜の介護施設に移転されることになった場合、その他手続きについてのご不明な点がある場合、小職までご連絡いただきますようお願い申し上げます。

行政書士 ナガイ事務所  永井 隆一
045-461-3240(FAX同)
080-5470-0283(携帯)
〒221-0045 横浜市神奈川区神奈川2-13-6 KSビル5F
r-010109@mars.dti.ne.jp
社会福祉士 精神保健福祉士 FP技能士 防災士 介護予防指導士
「成年後見・防火防災・介護・ビザ申請」

回答日時:2010年2月26日(金) 09:38 JST

永井先生

温かいご配慮にあふれたご回答をありがとうございました。

「何よりも、ご本人の意思が何よりも大事です。おばあちゃんは、判断能力のある方です。介護施設を横浜に移すことも、通帳をご長男にお預けになることも、例え身内であっても、本人の承諾なしには認めらない行為です。」
先生のお言葉に救われた思いが致しました。

おばあちゃんは最近やっと少し元気になり、長男が今度山形に来たら「横浜には行かない」と、自分で言うと言っています。
長男とは話したくないからと背を向けるのではなく、おばあちゃんの希望をおばあちゃんの声と言葉で伝えて、長男にわかってもらうのが一番いいことだと私たちも思います。
「長男にしっかりとおばあちゃんの思っていることを言うためにも、がんばってリハビリしようね!」と、そう言って私たちも今おばあちゃんを励ましています。

その上でどうしても長男が納得しない場合は、先生に教えて頂いた「任意後見人」の依頼を考えるようおばあちゃんに言おうと思います。
任意後見人は、やはり私やM子ではない方が人間関係はこじれないですむと思いますので・・・

万が一横浜の施設に入ることになりましたら、その時には改めましてご連絡申し上げ、またご相談ををさせて頂きたいと存じます。

今回先生にご相談をさせて頂きましたお蔭で、おばあちゃんの未来に少し光が見え始めました。
本当に、本当にありがとうございました。

最後になりましたが、御礼がおそくなりましたことをお詫び申し上げ、先生のご多幸と益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

Karine

| 40代/女性 | コメント投稿日:2010-03-02 |

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