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相続問題

ご相談者:30代/男性

父が発病前は
父(無職)と姉(フリーター) 実家住まい
私(会社員)と嫁(育児中) 実家近くにて賃貸アパート住まい
弟(会社員)と嫁(育児中) 遠方にて賃貸マンション住まい
でした

父が脳梗塞で倒れ、以降施設に入所し、姉が実家で病院代、通帳、貯金などを管理していました。
私は仕事を抜けて施設を探したり、リハビリ計画などの打ち合わせで毎週何かしらの父絡みの作業に追われていました。
弟は遠方を理由に一切手伝いません。

最近では姉が結婚を理由に介護を放棄してしまったのです。
しかも、父不在の実家に彼氏を呼び込んで同棲しているのです。

私は実家が古く、地震がきたら危ないので実家を建て直し、自宅兼アパート程度にしたいのですが
司法書士の方に聞きました所、少なくとも成年後見人にならないと建て替えられないとの事でした。
成年後見人になると、ますます忙しくなってしまいます。

しかも、父の死後
姉と弟は土地、財産を含め資産3分割を強く要求しており、隠そうにも資産内容もすべて把握されてしまっています。
私名義で家を建て替えてしまうと、姉と弟への資産3分の2分の支払い+住宅ローンが残ってしまいます。
トリプルローンはとても無理なので相続辞退をお願いしたいのですが、どうやら無理そうです。


最近、介護と相続で心も体も悩みつかれてしまい、眠れなくなってしまいました。
仕事でも毎日限界近く働いているんですが、ふと一息付くと、また悩みが襲ってきます。

どうすればいいんでしょうか?

30代/男性 | 日付:2012年8月23日(木) 15:24 JST | 閲覧件数: 2,175

残念ながら、現在の民法では資産均等配分が原則

勝 桂子

しらかばさん、お仕事もお忙しいなか、ご実家のことに尽力されて大変な毎日ですね。
心労、お察し申し上げます。

ご質問の件ですが、まず原則から申し上げれば、現在の民法では、ごきょうだいで均等配分が原則(遺言等がない場合の原則となる、法定相続分)となっていますので、お姉さまと弟さんの主張も、必ずしも不合理というわけではありません。

お父さまのお世話をどなたかが一手に引き受けていたような場合は、「寄与分」(家族の世話などに貢献した分)といって、取り分を多めにするということもあります。

これを理由に、しらかばさんの取り分を多めに勘案するとしても、姉さまがお世話や管理をされていた時期もあるわけですので、ご実家の不動産すべてをしらかばさんへ、ということには、できそうにありません。

お住まいの地域によっては、不動産はご長男が相続するのが当然かのようなお考えも持たれているかもしれませんが、残念ながら、戦後の民法で、そのような線引きはすでになくなって久しいのです。

また、「地震がきたら危ないので実家を建て直し、自宅兼アパート程度にしたい」とおっしゃる気持ちもわかります。しかし、建替えのための資金がその後の賃貸で確実に回収できるのでしょうか?
まだまだ、大きな地震等の可能性も全国的に予想されています。建替えてすぐ、アパートが満室にならないうちに改修費用が発生するようなことになれば、生活が破たんしかねません。
本当に危険な状態であるならば、現在住んでいらっしゃるお姉さまと話し合われて、資金を出し合って、耐震工事にとどめるのが無難かもしれません。

また、お姉さまは入籍後、そのままご実家に住まうことは考えていらっしゃらないのでしょうか。長年そこに住んでいらしたとあれば、結婚したからという理由のみで追い出すわけにもいかないものです。こちらも同様で、現在の民法では、「嫁に行った者は実家を出るべき」といった家長制度は残っていません。
お姉さまのご結婚相手に資力があるなら、建替えはそのかたにお任せし、逆に相続分に相当する現金をいただくという考えに切り換えてみるのも一案です。

いずれの場合も、ご実家の名義がお父さまにある以上、お父さまが同意し契約書に捺印されない限り、ご実家を売ったり建替えたりということは難しいです。

それを誰かが代理するための方法として、司法書士さんは、成年後見制度の利用ということをお奨めされたのでしょう。
成年後見の申し立てをする場合、お父さまが「判断能力を欠く常況」などであるという医師の診断書が必要となります。お父さまが通常に会話ができる状態にいらっしゃらないようであれば、申し立ては可能です。

後見人は、ご家族のどなたかでもいいですし、事務処理の時間が取れないようであれば、月に数万円はかかりますが、弁護士や司法書士、われわれ行政書士などに依頼することもできます。

ただ、財産の処分等については家庭裁判所が常に監視します。おっしゃっているご実家の建替え等については、家庭裁判所の許可が必要で、その判断基準はあくまで「被後見人(後見されている本人)の利益が優先」となります。
入所されている施設の費用がまかなえない場合などに実家を処分して費用を捻出するという選択はありえますが、残念ながら、あなたが将来家賃収入を得る目的でご実家を建替えするということについて、家庭裁判所がOKするとは、考えにくいと思います。
小さな地震でいまにも崩壊しそうなほど危険な状態であれば、耐震工事のOKは出る可能性があると思います。

ですから、あなたが成年後見人に就任したとしても、いますぐ「ご実家の建替えを行う」ということは、おそらく難しいということ。
それ以前にお姉さまを理由なく追い出すことも難しいであろうということを、ご理解ください。

これらを合わせ考えますと、お父さまに万一のことがあったときに、資力のある人が継いで建替え等を行うのが無難であり、その際は、おっしゃる通り、他のごきょうだいには、「相続分(最低でも遺留分)に相当する額を現金なり別の資産で支払う」必要があるでしょう。無論、他のごきょうだいが「遺留分はいらないよ」と言えば問題ないのですが、うかがっている限りは、相続分をキッチリもらいたい、というお考えのようですから難しいでしょう。

不動産は切って分けるわけにいきません。
持分分割登記や共有名義にすることはできますが、次世代の相続のとき、いとこ同士など日ごろあまり交流していない人どうしが遺産分割協議をすることになりますので、トラブルの元になり、お奨めできません。
ごきょうだい全員が、法定相続分を欲しいと主張して譲らず、どなたもそれを現金なり他の資産で支払うこと(代償分割)ができないのであれば、ご実家を売って現金化し、それを三分割する「換価分割」にするしかありません。

時間が解決していく、という場合もあります。
少し日を置いて、もう一度お姉さまや弟さんと、話し合ってみましょう。

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回答日時:2012年8月24日(金) 09:07 JST

返事が遅くなってしまって誠に申し訳ありませんでした。

また、長文にて回答いただき、誠にありがとうございました。
お手間とお時間をいただき大変恐縮です。

現行の法律できちっとやると、そうなってしまうのですね。
家長制度とは申しませんが、せめて先祖を法要する人間と、家系を維持する人間、というのが
経費を必要とすると思うんですが、分からない兄弟なんですね。

仏壇、位牌の置き場、行き場のない家なんて、先祖に申し訳が立たなくて嫌ですね。

先生、回答ありがとうございました!

| 30代/男性 | コメント投稿日:2012-09-21 |

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勝 桂子相談件数:12件
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