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自己所有の土地建物を財産分与した場合の課税関係

ご相談者:30代/女性

はじめまして。よろしくお願いいたします。

昨年3月から私が家を出るという形で、夫と離婚を前提とした別居中です。

1/2ずつの権利を有する土地と住宅があり、住宅ローンも1/2ずつで、連帯債務者となっています。

私は昨年3月時点で土地建物ともに売却をし、正式に離婚をしたかったのですが、
売却をしてもローンが完済できないこと、今後新たに住宅を取得するのは困難なことなどから、
夫が売却をしたくないとの事で、その時点で夫一人の名義での住宅ローンの借り換えを試みましたが、
審査が通らず、後日再度審査を受けたいとの夫の要望で、1年と言う約束で離婚を延期しておりました。

今年に入り審査がとおり、土地・建物の権利、および今後のローンをすべて主人が引き受けることとなり
手続きを進める予定なのですが、下記についてわからないのでご教授いただけますでしょか?

?財産分与という形で土地建物の権利を夫に渡すということになると思います。
財産分与では実際譲渡所得は発生しないと思うのですが、この場合でも譲渡所得税の対象になるのでしょうか?

?譲渡所得税の対象になる場合でも、一定の要件を満たせば居住用財産の譲渡についての3000万円控除特例が適用されるとの事ですが、このケースの場合の【一定の要件】とはどういうものでしょうか?
(土地と建物の私の持分は3000万は超えません。)

?特例のルールのひとつに、【親族等の特別関係者への譲渡は特例適用不可】とあり、離婚成立後であれば、この要件は満たすかと思うのですが、財産分与の手続き(所有権移転の手続き)と同日に離婚届の提出をするということになりそうなのですが、同日でも上記の特例の適用は問題ないでしょうか?

お手数をおかけしますがよろしくお願いいたします。

30代/女性 | 日付:2008年6月11日(水) 16:16 JST | 閲覧件数: 3,502

自己所有の土地建物を財産分与した場合の課税関係

巻幡 直美

はじめまして、税理士の巻幡です。
こちらこそどうぞよろしくお願い申し上げます。

離婚の場合の財産分与については
混乱する方が多いと思います。

基本的な内容をまずご説明させていただきます。

原則的に、慰謝料や財産分与に税金はかかりません。
慰謝料は、心身に加えられた損害に対する賠償金であるため金銭による支払いの場合は非課税です。 しかし、財産分与は、受け渡しの方法により、財産を譲渡する側、譲渡される側の両方に税金がかかってくる場合があります。

財産分与は、夫婦の財産の清算を行うため、現金のほか不動産や株式などの金銭以外の資産で受け渡しを行うことがあります。 この場合、財産分与は資産の譲渡にあたり、支払う側に譲渡所得税がかかります。 不動産などの譲渡は、譲渡所得による収入金額とみなされるため、離婚に伴う財産分与であっても例外とはなりません。

課税額は、譲渡する際の資産の時価をもとに計算されます。
例えば、3,000万円で購入した自宅の土地建物の時価評価額が4,500万であったとします。 この場合、差額の1,500万円が譲渡益として譲渡所得税の対象となり、土地を譲る側(財産を譲渡する側)が税金を支払います。 譲渡する不動産が居住用の場合、譲渡所得3,000万円までの特別控除が受けられますので、この場合は非課税となります。

この特別控除を受けるには、親族以外への譲渡が要件となっているため、離婚後に手続きを行う必要があります。 また、婚姻期間が20年以上の夫婦の場合、離婚前に居住用不動産を条を譲渡される側が引き続き居住すれば、贈与税の基礎控除110万円と配偶者控除2,000万円が適用され、2,110万円まで非課税となります。

不動産を譲渡される側にも税金は課せられます。
不動産の取得による不動産取得税と登記の際に登録免許税が課せられますが、一定の条件を満たしていれば、軽減税率が適用される特例があります。 また、不動産の取得後は毎年固定資産税を納めることになります。

あまりに過大な財産分与がなされた場合、過剰な部分について贈与があったとみなされ、贈与税がかかることがあります。 受け取った財産を売却するときには譲渡益が生じ、譲渡所得税がかかることもあります。 譲渡益に課せられる税金は、非常に高額になる場合もあるので、大きな資産を分配する場合は税理士など専門家に相談した方が良いと思われます。

そして
お尋ねの件についてです。

?土地建物の譲渡に該当します。
 ただ、通常は特例などの適用を受けるため、課税されるケースは少ないと思われます。

?居住用財産の3000万円特別控除の適用要件については

国税庁のHPをご覧になってください。
以下HPのタックスアンサーです。

No.3302 マイホームを売ったときの特例
[平成19年4月1日現在法令等]

1 制度の概要
 マイホーム(居住用財産)を売ったときは、所有期間の長短に関係なく譲渡所得から最高3,000万円まで控除ができる特例があります。
 これを、居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例といいます。

2 特例を受けるための適用要件
(1) 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売ること。なお、以前に住んでいた家屋や敷地等の場合には、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

(2) 売った年の前年及び前々年にこの特例又はマイホームの買換えやマイホームの交換の特例若しくは、マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例の適用を受けていないこと。

(3) 売った家屋や敷地について、収用等の場合の特別控除など他の特例の適用を受けていないこと。

(4) 災害によって滅失した家屋の場合は、その敷地を住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

(5) 住んでいた家屋又は住まなくなった家屋を取り壊した場合は、次の二つの要件すべてに当てはまること。

イ その敷地の譲渡契約が、家屋を取り壊した日から1年以内に締結され、かつ、住まなくなった日から3年目の年の12月31日までに売ること。

ロ 家屋を取り壊してから譲渡契約を締結した日まで、その敷地を貸駐車場などその他の用に供していないこと。

(6) 売手と買手の関係が、親子や夫婦など特別な間柄でないこと。
 特別な間柄には、このほか生計を一にする親族、内縁関係にある人、特殊な関係のある法人なども含まれます。

3 適用除外
 このマイホームを売ったときの特例は、次のような家屋には適用されません。

(1) この特例を受けることだけを目的として入居したと認められる家屋

(2) 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋

(3) 別荘などのように主として趣味、娯楽又は保養のために所有する家屋

4 適用を受けるための手続
 この特例を受けるためには、確定申告をすることが必要です。
  また、確定申告書に次の書類を添えて提出してください。

(1) 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)[土地・建物用]

(2) マイホームを売った日から2か月を経過した後に交付を受けた除票住民票の写し又は住民票の写し
 この除票住民票の写し又は住民票の写しは、売ったマイホームの所在地を管轄する市区町村から交付を受けてください。

(所法33、措法35、措令20の3、23、措規18の2、措通31の3−2、 31の3−14〜15、35−2、35−5)

?実務上、譲渡(財産分与)日と離婚届の提出日が多少前後していても
事実が離婚による財産分与であれば特例は受けられるようです。
あくまでも私一個人の見解ですので、実行される場合にはご自身で税務署等にご確認を
お願いいたします。


以上
ご参考にしていただければ幸いです。

                   巻幡直美

回答日時:2008年6月13日(金) 10:03 JSTお礼のコメントを書く

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