1-11 オフィサーソフト社

伊勢の詳しい説明を聞き、納得した一同は早苗の自宅マンションを出た足で、

彼女の勤務先であるオフイサーソフト社に向かった。到着したのは陽が傾きかけたころだった。

オフィサーソフト社は東京の池袋駅の東口側にあり、事前に訪問することは連絡してあった。

エレベーターから出て、案内されたすぐ斜め前の応接室で待っていると中年の男性が急ぎ

足で入室してきた。「すみません。お待たせいたしました、、、、、、はじめまして、

地井さんのご両親様ですね。このたびはたいへんご心配のことと思います。

私、専務の由比と申します、どうぞよろしくお願いいたします」と低姿勢だった。

探偵の伊勢とは顔見知りのようであり、一通りの挨拶を済ませ話し出した。

「私どもが10月22日に地井さんと連絡がとれないとわかって、今日が28日になりますから、

一週間以上にもなります。いまだに地井さんの携帯電話が不通になっているようなのです。

うちとしましてもたいへん心配しておりまして、いろいろと問い合わせをしているのですが、

いまだによくわからないのです」と軽く頭を下げ、続けて言うには「地井さんはうちの

プロジェクトチームのリーダーで、彼女がいないと支障をきたすことが多いのです。

地井さんの予定では10月17日に日本を発って10月22日にシンガポールの取引先会社と

仕事の打ち合わせに行くことになっておりました。その17日にシンガポールに到着されてから

21日まで、土日の休日と有給休暇で現地の観光をするということになっていたのです。

現地で休暇を楽しんだ後の22日の約束の時間に相手先の会社に行くという旨を本社には

届けていたのです。一応、彼女の予定を調べておきましたので」と次のように読み上げた。

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