1-7 机の表面


「これって、もしかすると、、」

「おそらくそうです。この付近ですが、なにか置いてあったようにようですね。この辺の部分と

周りの部分の埃の量が違うようです」と伊勢は指差した。

「どういうことなのか教えていただけませんか?」地井敬介は心配そうに声を出し、

妻の恵子は隣で黙っている。

「早苗さんは、きれい好きとのことですから、部屋はよく掃除をされると思うのです。普通、机の表面を

拭くときは置いてあるものを片付けたあと、その表面全体をきれいに拭くはずですよね。

そして拭いたあとに元のように物を戻すと思うのです。ところが、これをよく見ると何か物を

置いていた部分があるようなのです。そこの埃のつき方とその周りのと違いがあるように見えるのです。

つまり机を拭いたあとに何かを置いていた。そしてそのものを何日後かに持ち去ったような」

「というと、どうゆうことなのですか?」と地井敬介は心配そうに言ったが、優子は言い出した。

「私もそう言われて思い出したことがあるのですが、以前にこの部屋にお邪魔したことがあって、

そのとき1台の黒色のノートパソコンが、たしかこの机の上に置いてあったと思います」

「早苗さんが、パソコンを持って海外に行ったということなのでしょう?」とキエは言い出す。

「でも、この机に置いてあったノートパソコンには、彼女が集めたお気に入りの嵐のシールを

飾っていて、普段は持ち出さないようなことを言っていたと思います」

「それは本当ですか?」と伊勢は優子を見つめた。

「だとしても、やっぱりご本人が持ち出したものでしょうから、問題ありませんよね」とキエは言ったのだが、

「いや、そうじゃないかもしれない」と伊勢はさえぎった。



(困りごとができたら電話 012007884 オナヤミハナシ)

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