新しいペットでグリーフは癒せるか?

  • 2009年10月16日(金) 20:24 JST
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 ペットを亡くしたばかりの人に新しいペットを迎えるように薦める。



 昔からとてもよくあることです。



 それは「新しいペットが、きっとその人の悲しみを癒してくれる」という希望が含まれているからです。


 確かに動物のもたらす癒し効果は、何十回のカウンセリングに勝ることがあります。


 愛するペットを亡くした時に感じる心の穴を埋めるために、新しいペットを求めるのは自然のことだと思います。
 しかし、その心の穴が、まるでクッキーの型のように決められた形だったらどうでしょう?新しいペットを無理矢理中に押し込めることになります。


 ペットを失ったらすぐに新しいペットを飼わないといけない。そういうわけではないのです。




 ある60代の女性がいます。彼女は5ヶ月前に愛犬リリー(シーズー)を13歳で亡くし、周囲に薦められるままに新しい犬(トイプードル)を飼いました。
 一見その犬を大事に大事に育てているようですが、しかし、お散歩仲間、ペットショップの店員はあることに気がつきました。
 彼女は良くこんな話をします。



「この子はまだお座りが出来ないの。リリーはこの(歳)くらいにはフセも出来たのに」


「この子は好き嫌いが激しいの。リリーは何でも良く食べたのに・・・」


「きっとこの子はリリーの生まれ変わりだと思うの。寝方がリリーそっくり」



 など、事あるごとにリリーを引き合いに出します。まるで、今の犬と比べていかにリリーが優秀で最高のパートナーだったかを自慢しているように感じますね。その反面新しい犬をリリーの「生まれ変わり」だと主張しています。それは、新しい犬をリリーの生まれ変わりと思わないと愛せないかのようです。そして少しでもリリーと今の犬の共通点を見つけ出し、そこに安心している。


 そうです。自分の心に空いた型に、無理矢理新しい犬をぎゅうぎゅう押し込めています。押し込むことが出来ないと、やっぱりリリーのほうが優秀だったと思い、益々リリーへの愛着を強くしています。


 彼女はリリーとの別れの時に感じた、グリーフ(悲観)としっかり向き合えていなかったのです。
 いや、むしろ向き合う時間がなかった。と言うほうが正しいのかもしれません。
 リリーが亡くなった事実が、新しい犬を飼うことによって、実感できなかった例です。




新しいペットを迎える前に、新しいペットを薦める前に、考えましょう。



あなた自身の感情
・しっかりとグリーフに向き合えたか。また、前の犬の死を受け入れているか。
・前の犬に対しての罪悪感を(持っているなら)解決しているか。 
・新しい犬を飼いたいと思う理由は何か?
・新しい犬にすべての問題(の解決)を丸投げしていないか?
・あなた自身が新しい犬を飼うことを望んでいるか?


ライフスタイル(新しい犬を飼うことが出来る生活をしているか?)


犬を飼うことに対しての能力(年齢や金銭面、環境など)




新しい犬を飼うことは、たくさんの期待とたくさんの不安が伴います。

しかし、上記の条件をクリアしたとき、「ああ、また新しい絆を作りたい。新しい犬を迎えたい」と思うのは当然の心理なのです。




「新しいペットでグリーフは癒せるか?」




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