効率よく、わかりやすい文書を書くには

現場で使えるビジネス文章術48++ -その11-
効率よく、わかりやすい文書を書くには

ビジネスの現場では、読み手を説得・納得してもらうために文書を書くことがよくあります。
この説得力のあるわかりやすい文書とは次のポイントを抑えることです。
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論拠は独りよがりになっていないか、読み手が納得するか
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これと真逆な文書が、独り相撲している文書であり、論理が飛躍する文書です。
つまり独りよがりで客観性を失った状態で書いてしまう文書ですね。
ところが人間というものは不完全な存在で、熱くなればなるほど、熱心になればなるほど、気持ちを込めれば込めるほど、「独りよがりで客観性を失った状態」になりがちです。

これをとめるコツはありません。気持ちを込めるということはそういうことなのだとあきらめるしかないのです。
独りよがりな論拠にならないように書くことはできないわけではありませんが、そんなことにエネルギーを投入して、上っ面だけの文書を書くのは時間の無駄ともいえます。

いったん書き上げて、少し時間を取って気持ちを冷まして、推敲時に「独り相撲と論理の飛躍」を改めればよいのです。

この方がずっと効率的に、結局のところ短時間で、説得力のあるわかりやすい文書を完成させることができるのです。

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「個人的」に「思わ」なくていい

現場で使えるビジネス文章術48++ -その10-
「個人的」に「思わ」なくていい

ビジネスの場では使うことはないように思えますが、所感を述べるときに使用を控えたい言葉があります。
特に気を付けたいのが、「個人的に」と「思う」です。
個人ブログのような私的な文章だと、半数以上の方が使う言葉ですが、考えてみればおかしな表現です。

なぜなら。

個人的:個人の立場である限り、いちいち断らなくてもすべて、「個人」の意見ですよね。
これがビジネスの場だったら、なおさらです。
○○部△△課の課員として、あるいは課長として、あるいは部長としての所感を求められているときに、「個人」の立場で自由な意見を展開されても困りものですよね。
おそらくは、「個人的には」=「本音を言えば」という意味なのでしょうが。

思う:思っているからこそ、文章化しているわけです。言わば、すべての文章には末尾に、思う/思った/思っている、がつながるわけです。
律儀に書いていくと、文末が同じ「思う」の繰り返しになり、単調な印象を持たれます。
すなわち稚拙な文章と思われるのです。
事実と意見をどうしても区別したい部分以外は、「思わ」なくていいのです。

と、ぼくは思っています。←余計な1文ですよね!

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もう一つの接続詞の使い方

現場で使えるビジネス文章術48++ -その9-
もう一つの接続詞の使い方

先週、このコラムで「接続詞の使い方」を説明しました。
この接続詞、発想を変えることで、推敲のツールになることをご存じですか?
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推敲とは、いったん書き上げた文章を再度読み直して、よりよいモノに洗練する作業です。
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すべての文の先頭に接続詞を付けてみるのです。
実際に付けて、読み返すのが理想ですが、長い文章ではちょっとやりきれません。
文章を読み返すときに、心の中で、すべての文の先頭に接続詞を付けて読み返してみるのです。

すると!
使った接続詞から、論理展開がわかります。
あなたの書いた文書が論理的に展開しているかどうかが、客観的に分かるということになルのです。
自分の書いた文章が論理的に展開しているか、論理の飛躍がないか、客観的に読み返すのは難しいのですが、このテクニックを使うと便利ですよ。

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接続詞の使い方

現場で使えるビジネス文章術48++ -その8-
接続詞の使い方

簡単なようで意外と難しいのが接続詞。
「○○、が△△」とつないでいるのに、逆説になっていない文章はよく見かけます。
また、「そして」が連発されている文章もときどき見かけます。

接続詞はほかにもたくさんあります。
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さて、さらに、また、かといって、しかし、
だから、そのうえ、したがって、となると、
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きりがありませんね。
ややこしいのが、用法が似ているモノです。
「さらに/また/そのうえ」の使い分け、きちんとできていますか?

さて、考え始めるとますますややこしくなってくる接続詞ですが、コツはとてもシンプルです。
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1.全部トル
2.声に出して読んでみて、意味がわかりにくかったらツケル
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なのです。このコツ、何かに似ていませんか?
そうです。句読点の使い方のコツと同じなのです。

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「各位」の使い方

現場で使えるビジネス文章術48++ -その7-
「各位」の使い方

手紙やメールの宛先には敬称を付けます。
敬称の使い方は大丈夫ですか?

今日は「各位」についてお話しします。
「各位」は、不特定の人を総称する場合に使う「敬称」です。
敬称ですから、各位に様を付けるのは御法度です。
2重敬語になってしまいます!

「お客様各位」というのは正しい使い方です。
「お客様」とは不特定集団を指しています。その不特定集団に付ける敬称が「各位」です。

ちょっとややこしいので、混乱している人がいます。
あなたは間違えないでくださいね。

「各位」というのも正しい使い方です。
「皆様」という使い方と同じです。

したがって「皆様殿」と同じく「各位殿」は間違いです。

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「気付」の使い方

現場で使えるビジネス文章術48++ -その6-
「気付」の使い方

現代では、携帯電話やメールがあるので、本人には直接連絡することがほとんどです。
それでも、出張中の人に資料や荷物を送る場合は、宅配便や郵便を使うことになります。
このときには、「気付」という敬称を使います。

「気付」は、正式な構成員でないが現在はその組織に所在がある人の場合に使う敬称です。

東京営業所の田中さんという人が金沢営業所に出張中だとします。
宛先は、金沢営業所気付 田中様 ですね。

金沢営業所 田中様では、金沢営業所にいる田中さんが宛先です。

金沢営業所気付 田中様では、金沢営業所の所属ではないが、金沢営業所にいる田中さんが宛先になるのです。

組織でなく所在先が個人の場合は「様方」になります。

組織に所在があるというより、その組織の正式構成員である人に送れば連絡がつく場合は、様方を使います。

金沢営業所 加藤様方 田中様 とすれば、
金沢営業所に送っても、田中さんに届くかどうかは不明だが、金沢営業所の加藤さんに連絡すれば、加藤さんが田中さんに渡してくれるという場合ですね。

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何をどう書けばよいのか分からないときの対処

現場で使えるビジネス文章術48++ -その5-
何をどう書けばよいのか分からないときの対処

文章を書き慣れている人もそうでない人も、書けない!というときはあります。
しかしビジネスでは「書けないから書きませんでした」は通りません。しかるべき期日までに書かなければなりません。
私にも書けないときがあります。しかし、私は次のような方法で、期日に間に合わせるべく文書を作成しています。

読み手と会話するつもりになって考える

文書には必ず読み手がいます。社内文書であれ、社外文書であれ、読み手は必ず存在します。
この読み手が、あなたの知っている人の場合は、その人と会話しているところを想像してみてください。
あなたが書こうとするテーマについて、会話しているところをシミュレーションするのです。

彼(読み手)が知りたいことはなんでしょうか? 彼は最初に知りたがることはなんでしょうか?
それが結論であり、最も重要な情報です。起承転結の起に当たる部分がこれになります。

その知りたいことをあなたは説明します。それを聞いた彼は補足説明を要求するでしょうか? 要求するとすれば何でしょうか?
それが結論に続く説明文です。起承転結の承に当たる部分がこれになります。

さて、あなたの持っている情報で、彼の興味を惹きそうな情報は何かありますか? 結論としたことを否定する・懸念する事例はありますか? または別な切り口で同じ効果を出しているような類似例はありますか?
それが展開情報です。起承転結の転に当たる部分がこれになります。

ここまでであなたから彼(読み手)への情報提供は終わりです。
起承転結構成の文書の結には何を書けばよいのでしょうか?
それは、あなたの希望です。
あなたは読み手に対して、何を希望しますか? 行動を起こしてほしいのでしょうか? 逆に情報提供を求めるのでしょうか? それとも説明した内容を理解してもらえばよいのでしょうか?
このことを末尾にしっかりと明記します。

このようなことをシミュレーションして、書けないときも、私は文書を作成していきます。

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句読点の使い方

現場で使えるビジネス文章術48++ -その4-
句読点の使い方

句読点は使い方が難しいのは、使っても使わなくても、意味が通じるからです。
そして使い方によって意味が違ってくることもあります。

(1)
ここで、はきものをぬいでください。
ここでは、きものをぬいでください。

(2)
私は、妹と弟の世話をしました。
私は妹と、弟の世話をしました。

「だから、句読点は正しく使いましょう」という説明がありますが、これではなんの役にも立ちません。
そもそも誤解を生むような文章を書いて、句読点の位置で正しく伝えるくらいなら、「誤解を生まないような文章を書けばよい」からです。

(1)の例では、漢字を使えばよいし、
ここで履き物を脱いでください。
ここでは着物を脱いでください。

(2)の例では、接続詞や主語と目的語の位置を変えればよいのです。
妹や弟の世話を私はしました。
妹と私の2人で弟の世話をしました。

気にしない人はまったく気にならないことですが、気になると正解がないだけに悩んでしまいがちなのが、句読点の使い方です。

句読点の基本は息をつくときに『、』を打ち、文章の終わりに『。』を打つ。
ただそれだけですが、ホントに難しいものです。この句読点の使い方には極意があります。
その極意とは次のたった3つです。

・つける位置で意味が変わるときは文章を書き換える
・全部トル
・声に出して読んでみて、読みにくかったらツケル

たったこれだけで、句読点の使い方をマスターしたことになるのです。

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文書作成とかかる時間の関係

現場で使えるビジネス文章術48++ -その3-
文書作成とかかる時間の関係

よい文書つまりわかりやすい文書を書くには、それなりに時間がかかります。
忙しいときは、文書を書くのにそんなに時間をとれないよ!ということも多々あると思います。
たった1枚の文書をまとめるのに、1時間もかけられないときもあれば、5時間かける価値がある文書もあります。

このようなときは、トータルコストで判断しましょう。
つまり、文書作成に時間をかけるか、作成後のフォローに時間をかけるかです。

例えば、上司に提出する報告書をまとめるとします。

黙って渡して、はい終わりということにはなりません。
おそらく、提出時に口頭でも説明をすることになります。

口頭で補足説明をするのなら、「文書だけにすべての情報を盛り込まなくてもよい」ということになります。
報告書は、箇条書きでもよいわけです。
直接のコミュニケーションを求める上司ならなおさらです。

逆に、報告書の類は終業後に自宅に持ち帰ってまとめて読むことにしている上司の場合は、きちんとした、「すべての情報が盛り込まれている文書」を作る必要があります。
この場合は、口頭でのフォローができないので、たとえ時間がかかってもきちんとした文書にまとめる必要があります。

文書を作ること自体は最終目的ではありません。文書を作成する目的は情報を伝達するということです。

最終目的を考慮して、どこに時間をかけるかをよく考えて、文書作成に時間をかけるべきとなったら、どんなに忙しくても時間をかけて文書を作成します。
フォローに時間を取られるなら、文書作成にかける時間はできるだけ短くすべきです。
たとえヒマであっても!

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簡潔明瞭な文書の作り方

現場で使えるビジネス文章術48++ -その2-
簡潔明瞭な文書の作り方

特に報告文は簡潔明瞭であることが求められますが、いったいどうすれば簡潔な文書になるのでしょう?
どこに配慮すれば明瞭な文書になるのでしょう?

まさに「言うは易く行うは難し」ですね。

次のことを意識すれば、自動的に簡潔明瞭な文書を書くことができます。

【読み手は誰か】
ビジネス文は、読み手を特定することができます。
直属の上司であることが多いでしょうが、同僚、他部署の社員、社外の得意先、お客様のこともあるでしょう。

誰が読むかは分からないと思える場合も、読むべき相手はいるはずです。
読むべき人以外が読むこともありますが、意識するのは、読むべき人のことだけです。

【読み手との共有情報は何か】
ある状況を報告する文書を例に説明します。
その読み手の知っていることは、これから書こうとする文書に記載することはありません。
文書の流れから言って、必要と思えることでも、もし読み手が既知の情報であれば、書く必要がないのです。
形にとらわれて、ついつい書いてしまいがちですが、「書く必要はない」のです。

【読み手に何をしてほしいのか】
これは、書こうとする文書に書く場合と書いてはいけない場合があります。
その文書を読んで行動を起こしてほしいときは、書かなければいけない場合です。
その文書を読んで自分のことを理解してほしいときは、書いてはいけない場合です。

どちらの場合でも、書く前と構想しているときと、書いているとき、どの段階でも、このことを意識して書きます。

上記の3つを意識して、文書をまとめれば、簡潔明瞭な文書が自動的にできあがります。

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