遺言書を書くとどんな利点があるの?

  • 2009年7月 4日(土) 00:17 JST
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相馬 保宏 遺言書なんか単なる紙切れじゃないかとお思いかもしれませんが、
遺言書があるのとないのでは全く違います。

①遺産をめぐるトラブルを避けることができる
 まず、遺言書が無いことで遺された家族を遺産をめぐるトラブルに巻き込んでしまう危険があります。自分の家族はそんなことではもめるはずが無いと思っていても、ちょっとしたことからトラブルに発展してしまうことが多いことも事実です。
 『遺言相続』のほうがトラブルが少ないと言われています。

②煩雑な手続きを避けることができる
 例えば、銀行預金。
 あなたが亡くなると、あなたの名義の預金口座は凍結されてしまい、1円も引き出せなくなります。
 そんなとき、公正証書遺言があれば相続人の戸籍謄本と身分証明書を合わせて銀行に持っていくだけで、預金口座の凍結が解除され、即、預金を引き出すことが出来ます。

 遺言書が無いと、遺産分割協議をし、遺産分割協議書を作り、すべての相続人の署名捺印が必要になります。

 そのためには、まず相続財産を把握するために金庫などを片っ端から調べ、貯金通帳、郵便物、株券、権利書などがないか探さなくてはなりません。不動産があれば不動産の登記簿謄本、不動産の評価証明書などを集めなければなりません。
 また、相続人を確定するためには、あなたが生まれてから亡くなるまでの一生分の戸籍謄本や除籍謄本、家族(相続人)全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書も必要になります。
 これらすべてを一般の人がかき集めるのは非常に面倒で多くの時間を費やすことになります。
 さらに、遺産分割協議をするためには、他の相続人との連絡調整をする必要がありますが、居所がつかめないなんてことも決して珍しくありません。
 これだけのことをするために費やす時間と費用はばかになりません。
 
③遺言書は決してネガティブなものではありません
 遺言書は「死」と結びついているためネガティブなイメージで捉えがちです。「遺書」と混同してそのようなイメージを持っておられる方もいるかもしれません。
 
 まだ遺言書を書くことに抵抗を感じているのであれば、想像してみてください。遺言書を書いておくことで、家族など救われる人がいるのです。相続の際、争いごとになって(よく「争続」と言われたりします)、残された家族に不安や心理的負担を与えないために、『今』元気なうちに自分なりの意思表示をすることが重要です。
 ご自身の人生に悔いを残さないためにも、遺言書によって、自分の意思表示を残してはどうでしょうか。
 遺言書は明るい未来を築いていくためのものです。決してネガティブなものではありません。
 遺言書は愛する家族へあなたの『想い』を伝えるメッセージなのです。

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遺言書ってどんなもの?

  • 2009年6月21日(日) 01:48 JST
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相馬 保宏 遺言者が、自分が死んだ後の自分の財産や身分についてする意思表示で、遺言者の死亡とともに効力が生じます。

民法では以下のような決まりを定めていて、ただ書けば何でもいいという訳ではありません。

①遺言は、一定の方式に従って書かなければなりません。
 その方式に違反する遺言は無効になってしまいます。法律用語で「要式行為」と言います。

②遺言は、遺言者の意思表示によって効果が発生します。
 「相続させる・させない」として名前を書かれた相続する側の人の承諾は必要としないということです。そのような承諾が必要だとしたら、秘かに遺言を書いておくことなんてできなくなってしまいます。

③遺言は、2人以上の者が共同ですることはできません。
 1通の遺言書に、2人分の遺言を連名でしても無効になってしまいます。片方が無効になるのではなく、両方とも無効になります。夫婦で遺言する場合など、別々に作成しなければならないので注意してください。
 
④遺言者は、いつでも遺言の全部または一部を自由に撤回することができます。
 遺言者は、遺言を書いた後でも何回でも書き直すことができ、内容を変更したり撤回したりできます。ただし、撤回するときも法律に定められた方式で行わなければならず、この撤回権を放棄することもできません。

⑤法律で定められている事項以外の内容は法的には効力がありません。
 遺言でできる行為(遺言事項)は法律で定められており、それ以外のことを遺言書に書いても法的な効力はありません。ただし、それらのことが書かれていたとしても遺言書が無効になるわけではありません。むしろ、感謝の言葉など家族を気遣う「想い」は書いた方がいいでしょう。

⑥遺言は遺言者に意思能力(遺言能力)が必要です。
 未成年者でも満15歳以上であれば意思能力が認められていますので遺言をすることができます。

このように、遺言には法律上こまかな決まりがあり、守られていないと無効になってしまう場合もあります。せっかく書いた自分のメッセージが無効となってしまうのはとても残念なことです。
自分で遺言書を書くという場合でも、専門家にチェックしてもらうことをおすすめします。

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