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「親を

ご相談者:40代/男性

拝啓 市岡先生
 はじめまして、どうぞよろしくお願い致します。
 自分は現在46歳、創業者である父74歳そして実弟40歳とともに都内繁華街にて飲食店を3軒営んでおります。
 以前より自分はある悩みを持っております。それは、「先代(父)を越えられるのか?」ということであります。2代目経営者にありがちなものといえばそうですし、漠然としてもいるのですが、ここ最近は強迫観念的に囚われてしまっている気がします。
 父は、戦中戦後のモノのない時代を経て高度経済成長期に一念発起独立し、小さいながらも3軒の店を築きました。それを現在まで潰さずに保っているのは、補佐する自分や弟の努力もありましょうが、やはり父の気概に因るところが大きいのです。特にここ数年の不況下に於いてはバブル期に成した蓄財(不動産)を放出して危機を乗り越えるなど、経営者としての覚悟や決断は素晴らしいと、身内ながら尊敬しています。
 一方、昔気質の頑固さや思い込みの激しい一面もあり、本人は中庸でいるつもりなのですが、周囲の人間はことある毎に翻弄されています。昨日の前言を今日は180°翻して物事を強行したりなどは日常茶飯事です。しかしながら和を尊び、あくまで本人本位ですが我々周囲の者を常に気にかけるなど、長としての態度も立派なものだと思います。
 もともと自分は(言い訳がましくなりますが)家業を継ぐつもりがなく、内向きな自分より人当たりの良い弟のほうが向いていると、若い頃は考えておりました。実際自分は30まで音楽系出版社で働いていましたが、バブル崩壊に伴って家業に就いて欲しいとの要請を受け、やはり自分も家を助けるべきと思い立ち、微力ながら今までやってきた次第です。
 しかしながら、一度家業に就いてしまえば周囲は兄である自分を「跡継ぎ」という眼で見ます。営業向きではあるが金銭感覚が欠如した弟の借金や離婚の後始末に父が追われる中、いつの間にか自分が「二代目」ということになり現在に至るのです。

 そもそも家業に入る時点での覚悟や心構えが足りなかったことは、今でも後悔のタネです。しかしそんな後ろ向きな考えではいられないので自分を奮起させたいのですが・・・やはり父のやってきた業を見るに付け思い返すに付け、自分の気概の足りなさを思い知らされます。恐らく経営ノウハウ自体に関してはかなり習得しておりますし、むしろ父よりもいろいろ判っている事も多いはずです。しかし、それだけではない心の部分で、自分はまだまだ甘いのだ、という観念に囚われてしまい、「がんばってやろう!」と思えば思うほど深みにはまっていくような気持ちになるのです。もともと音楽が好きな自分は、店舗経営を勉強させてもらった後に自分で店を出す(ライヴハウス)つもりでおりました。そのため開業資金も貯めていたのですが、家の相続や家業のために(もちろん自分自身の家族のためも含め)その約半分を使ってしまいました。もちろん、まだその希望は持っておりますし、それが出来るのであれば今のような心持ちで悩む事もなかったとも想像しますが、この不況下ではそれも夢で終わってしまいそうです。

 長々と申し訳ありません。このような中途半端な悩みではありますが、何か小さな事でも構いません、光明を頂ければこれに勝る有り難味はないと考え、相談をさせて頂く次第です。
 どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

40代/男性 | 日付:2011年11月28日(月) 22:00 JST | 閲覧件数: 2,067

ご相談ありがとうございます。(先代を越えられるか)

心理カウンセラー・経営コンサルタント 市岡 久典

ご相談ありがとうございます。
市岡です。
お返事が遅くなりまして申し訳ありません。

父親が飲食店を創業され、3軒の店を築いてこられたんですね。
その補佐をされてこられて、経営者としての覚悟や決断はすばらしいと尊敬されているんですね。

一方で、ご自身はもともと家業を継がれる意思はなく、弟の方が向いていると考えておられました。
それが、兄という立場もあり、弟の借金のことなどあり、実質的に二代目となっているのですね。

経営者というのは重い立場であり、また二代目となりますと、
先代との比較があり、そのプレッシャー・重圧はとても大きいものです。

その中で、プレッシャーに向き合わず、好き勝手に振る舞ったり、
自分の分かることだけに逃げ込もうとする人もいます。
重圧に真摯に向き合おうとされているあなたは素晴らしい経営者とお見受けします。

経営者にはいろいろなタイプがいます。
必ずしも営業向きの人ばかりではありません。
もともと内向きな方も多くいらっしゃいます。
また、会社を立ち上げる創業者と、それを継いで安定・継続させる経営者では
求められる資質も異なります。
周りは先代と比べることもあるかもしれませんが、比べても現状が変わるわけでもなく、先代はだんだんと年齢を重ねていきます。

自分はまだまだ甘い、と思われるのも、自己反省をなさっている証左です。
自分を成長させてくれる、必要な気持ちではないでしょうか。

もちろん先代の素晴らしいところでマネできる部分は大いに取り入れていけばよいでしょう。
ただ、違う人間ですから全てを取り入れることはできません。
その上で、習得された経営ノウハウも活用して、ご自身のスタイルを確立されることが重要なようにお見受けします。

また、ご自身のライブハウスを出すという夢があるということですので、
それをこの会社の経営を行っていく中で実現していこうとするのか、
あくまでその夢を最優先にしてご自身の人生を進めていくのか
(簡単ではありませんが)決断されることによって、かなり気持ちは変わってきます。
この点が、ご自身の中で覚悟ができ切れていない心のしこりのようにも思われます。

ずいぶんと釈迦に説法の部分もあったかもしれません。
文面でのコミュニケーションのため、分かりにくい部分やきつく思われる表現など
もあったかもしれませんが、その点ご了承ください。

この回答が少しでもお役に立ちましたら幸いです。

よろしくお願いいたします。

回答日時:2011年12月 2日(金) 15:40 JST

拝啓 市岡先生

 ご回答、有り難うございました。
 ご回答を頂くまでの間、そして頂いた後もしばらく考えておりました。自分はなぜ、こんなにも悩んでいるのだろうと。

 先生のお言葉の中から多くの事に気付かされましたが、そのうちのひとつに、創業者とそれを継ぐ者とでは求められる資質が違う、という点がありました。大変納得致しまして、自分にその「継承者の資質」があるだろうかと思い悩む事が、少し軽減されたような気が致します。
違う人間なのですし、内気だから経営者の器ではないと思っていたのも、本当に単なる「思い込み」であったような気になって来ました。
 それと同時に、先生の諸々のお言葉を契機に、あることに気付きました。

 それは、自分は父を羨んでいた、ということです。

 これは恐らく、もともと心の底では気付いており、意識の表層には浮かんでこなかったことだとも思えますが、要は父は「創業者としてゼロから築き上げた」という事実、これを自分は羨ましいと思っていたのです。自分もゼロからのスタートをしたい、自分の城を築き上げたいと切望していたのだと思います。
 先生、それをはっきりと気付かせて頂き、有り難うございます。

 しかしながら、今からそれを為すことは恐らく無理でありましょう。賭けるには歳をとり過ぎましたし、何よりも多くの事物が自分の周りには既成しているからです。家業もそうですが、妻や進学を控えた子供達、住まいのローン等々・・・それが人生なのでしょう。
 もし出来る事なら家業と同時に、家業からは少し距離を置いた位置づけで自分の店舗創業に挑戦したいと思いました。もちろん大変な事ではあると思いますが、頑張ってなんとか実現したい、という気持ちが出て来ました。
 やはり誰かに気持ちを打ち明けるというの良いことですね。強迫観念みたいな切羽詰まった感じも、かなり和らいだ気がします。重ねて御礼申し上げます。

 どうもありがとうございました。先生の益々のご活躍とご健勝をお祈り申し上げ、お礼のご挨拶に代えさせて頂きます。

 失礼致します。

Rush

| 40代/男性 | コメント投稿日:2011-12-03 |

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心理カウンセラー・経営コンサルタント
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