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資力をなくし債務の弁済が著しく困難な者が資産を譲渡した場合

ご相談者:40代/男性

兄は、実家の商売(酒屋)を母と二人で経営していましたが、借金苦から廃業をしました。借金返済(2500万円銀行、サラ金10社)のため、不動産の共有名義である私が路線価で購入をいたしました。現在、母と兄
は借金の返済を全て行い、無借金となりました。二人には、あと譲渡所得税の支払いが残っていますが、現時点では、支払うお金や資産等は一切ありません。何か良いアドバイスを頂けないでしょうか。母71歳無職 兄45歳です。収入は、母が月額6万円の年金、兄は深夜バイトで22万前後です。収入の殆どは、家賃、生活費、保険代等で使い切っていると思います。
宜しくお願いします。

40代/男性 | 日付:2008年6月21日(土) 14:30 JST | 閲覧件数: 2,791

資力をなくし債務の弁済が著しく困難な者が資産を譲渡した場合

巻幡 直美

はじめまして、税理士の巻幡です。
こちらこそどうぞよろしくお願い申し上げます。
遅くなりまして大変申し訳ありません。


ご事情はだいたいわかりました。

所得税法の規定に、資力をなくし債務の弁済が著しく困難な者が滞納処分、強制執行、競売などの強制換価手続により、資産を譲渡した場合の所得は非課税とする規定がございます。
この適用を受けられれば譲渡所得に対する所得税は非課税となります。

上記の適用が受けられるかどうか?
お兄様の資産を弟様が購入しておりますので難しいと思います。
一度専門家か税務署のご相談されることを
お勧めいたします。

譲渡所得の取得原価がわかりませんので
どの程度所得税が課されるかわかりませんが、
分割で少しずつ納付いただく方法をお考えになってはいかがでしょうか。


念のため、以下国税庁のHPの抜粋です。

No.3105 譲渡所得の対象となる資産と課税方法
[平成19年4月1日現在法令等]

1 譲渡所得とは
 譲渡所得とは、資産の譲渡による所得をいいます。

2 譲渡所得の対象となる資産とは
 譲渡所得の対象となる資産には、土地、借地権、建物、船舶、機械器具、漁業権、取引慣行のある借家権、ゴルフ会員権、特許権、著作権、鉱業権、土石(砂)、特定の有価証券、書画、骨とう、宝石などが含まれます。
 なお、貸付金や売掛金などの金銭債権は除かれます。

3 資産の「譲渡」とは
 譲渡とは、有償無償を問わず、所有資産を移転させる一切の行為をいいますので、通常の売買のほか、交換、競売、公売、代物弁済、財産分与、収用、法人に対する現物出資なども含まれます。また、次の場合にも資産の譲渡があったものとして課税されます。

(1) 法人に対して資産を贈与した場合や限定承認による相続などがあった場合
 次のイ又はロのような事由により資産の移転があった場合には、時価(通常売買される価額をいいます。以下同じ。)で資産の譲渡があったものとして、課税されます。

イ 法人に対する贈与や遺贈、時価の2分の1未満の価額による譲渡

ロ 限定承認の相続や限定承認の包括遺贈(個人に対するものに限られます。)

(2) 地上権や賃借権、地役権を設定して権利金などを受け取った場合
 「建物や構築物を所有するための地上権や賃借権(以下「借地権」といいます。)の設定」などにより受ける権利金などについても、その金額が借地権の設定された土地の時価の一定割合を超える場合には、譲渡所得として課税されます。

(3) 資産が消滅することによって補償金などを受け取った場合
 収用などにより、借地権、漁業権などの資産が消滅したり、その価値が減少することにより一時に補償金などを受け取ったときは、その補償金などは譲渡所得として課税されます。

4 所得税の課税されない譲渡所得
 資産の譲渡による所得のうち、次の所得については課税されません。

(1) 生活用動産の譲渡による所得
 家具、じゅう器、通勤用の自動車、衣服などの生活に通常必要な動産の譲渡による所得です。
 しかし、貴金属や貴石、書画、骨とうなどで、1個又は1組の価額が30万円を超えるものの譲渡による所得は課税されます。

(2) 強制換価手続により資産が競売などをされたことによる所得
 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難な場合に、[1]強制換価手続(滞納処分や強制執行、担保権の実行としての競売、破産手続)により、資産を譲渡したことによる所得及び[2]強制換価手続の執行が避けられないと認められる場合における資産の譲渡による所得で、その譲渡代金の全部が債務の弁済に充てられたものです。

(3) 公社債等の譲渡による所得
 公社債(新株予約権付社債を除きます。)や公社債投資信託及び貸付信託の受益証券の譲渡による所得については、次に掲げる公社債を譲渡したときの所得を除いて課税されません。

イ 国外で発行された割引公社債を国内で譲渡したことによる所得

ロ 利付公社債で、次のうちいずれかのケースに当てはまるものを国内で譲渡したことによる所得

[1] その利子の利率が著しく低いものとして財務省令で定めるもの

[2] 元本に係る部分と利子に係る部分がそれぞれ独立して取引されるもの

[3] 利子の計算期間が1年を超えるもの又は1年を超える利子の計算期間があるもの

[4] その利子の利率のうち、最も高い利率が最も低い利率の1.5倍以上であるもの

ハ 国内で発行された割引公社債のうち、独立行政法人住宅金融支援機構、旧住宅金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、独立行政法人都市再生機構、旧都市基盤整備公団及び旧住宅・都市整備公団並びに外国政府、外国の地方公共団体及び国際機関により発行されたものを譲渡したことによる所得

ニ 国内発行の一定の短期割引公社債の譲渡による所得

(注) 上記イ、ロ、ハ及びニについては、事業所得や雑所得として課税される場合を除き、原則として総合譲渡所得の課税対象とされます。

(4) 国等に対して財産を寄附した場合や、公益法人に対する財産の寄附で国税庁長官の承認を受けた場合の所得
 法人に対して財産を贈与又は遺贈した場合には、時価で財産の譲渡があったものとして譲渡所得が課税されますが、国や地方公共団体に対して財産を寄附した場合や、公益法人に対する財産の寄附で国税庁長官の承認を受けた場合には、その寄附はなかったものとみなされます。

(5) 国等に対して重要文化財を譲渡した場合の所得
 文化財保護法により指定されている重要文化財(土地を除きます。)を国(独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人国立美術館及び独立行政法人国立科学博物館を含みます。)や地方公共団体に譲渡した場合の譲渡所得については、課税されません。
 また、重要文化財と同等の価値があると認められる有形文化財や重要有形民俗文化財のうち、文部科学大臣が指定したもの(土地を除きます。)を平成24年12月31日までに国(独立行政法人国立文化財機構、独立行政法人国立美術館及び独立行政法人国立科学博物館を含みます。)に譲渡した場合の譲渡所得については、その2分の1相当額が課税対象となります。

(6) 財産を相続税の物納に充てた場合の所得
 財産を相続税の物納に充てた場合には、その財産の譲渡はなかったものとみなされます。



以上
ご参考にしていただければ幸いです。
善処されますことを願っています。

                          巻幡直美

回答日時:2008年6月27日(金) 10:26 JSTお礼のコメントを書く

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